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「ねーおっちゃーん、今日は何か演奏とかないのー?」
リナがカウンターに顎を乗せてどこかつまらなそうに訊ねた。
その視線の先には、フロアの隅にある小さなステージがあった。
「今日は残念ながら定休日だそうだ」
カウンター越しからおっちゃんが答えるのと同時に、オレンジ色のカクテルがリナの前に差し出された。
「えーつまんなーいー」
それを一気に半分程飲むと、やや乱暴にグラスを置く。
どうやら普通に置けない程酔ってきたようだ。
「こらリナ、一気に飲むと危ないぞ…今日はこれで最後な」
「だーもー!いーちいち撫でるなぁー!」
ガウリイが宥めるようにリナの頭をわしわしと撫でると、リナがいつもの様に手を払い落としてふらりと立ち上がった。
「うっしゃ!なら今夜はあたしが歌ったげる!」
『へ?』
リナの堂々の提案に、おっちゃんとガウリイの声が重なった。
「ま、まあ構わないけど…伴奏は」
「いらないわ!」
「あ、そう…」
「お、おいリナ…歌うって」
「ガウリイは黙ってる!」
「あ、ハイ…」
困惑気味のおっちゃんと呆然としているガウリイを置いて、リナはふらつきながら一人ステージに上がった。
そして中央にあるマイクスタンドをがしっと掴んで、
「イッエーイ!みんな飲んでるぅ~!?今宵はこのリナ・インバースが一曲歌っちゃうわよぉ~!!」
と叫びながら拳を高らかにつき上げた。
その声に反応して、店にいたお客さん達の注目が一斉にステージに注がれる。
「おいおい…大丈夫なのか…」
止めに行くか否かと迷うガウリイをよそに、ステージ上のリナは深呼吸をひとつ。
「そーれではお聞きくっださーい!リナちゃんぷれぜんつ、どっかで聞いた歌でーっす♪」
膨れ上がる客達のざわつきをよそに、リナの口が開いた。
その瞬間、さっきまでの喧騒が嘘の様にしん…と、静まり返った。
何の変哲もない、どこにでもあるような歌詞とメロディーの恋の歌。
それが透き通った声に乗って、小さな店に響き渡る。
わあああ…!!と、割れんばかりの拍手と歓声がして、ガウリイの意識が現実に戻された。
リナを探して視線を回すと、既にステージを降りてお客さんに笑顔で応えながらこちらに戻ってくるところだった。
「んっふっふ~、あたしの歌、ちゃんと聞いてた?」
未だ呆然としているガウリイの顔を覗き込みながらリナが訊ねた。
「えっ!?あ、あぁ、聞いてたぞ」
「ほんとに~?…誰に向かって歌ったかわかってるんでしょーね?」
「え…?」
呆気に取られたガウリイをよそにリナはふいっと視線を逸らしてイスに座ると、残っていたオレンジ色のカクテルを再び一気に飲む。
「おっちゃん!おかわりっ!」
「はいよ、天才歌手のお嬢さん」
上機嫌のおっちゃんにグラスを渡すリナの横顔がさっきより赤くなってるのは、たぶんアルコールのせいじゃない。
***
たまにはマトモに更新っとな。
夏ぐらいに書いた掘り出し物です(´ω`)
…何つーか、少女漫画か!って感じの展開だなぁと…今更恥ずかすぃ(;ノノ)
ちなみにコレ、戸松遥さんの「こいのうた」を聴いてたら思いついたネタだったり。
めぐさんじゃないのかッ…!すんません!!(汗)
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銀魂→銀神
で、文とか絵とか書いてます。
しょぼクオリティ&遅筆ですがよろしくお願いします。
ちなみに名前は「あきや」と読みます。
verschieden
↑スレイヤーズメインのサイト。ほぼ過去ログ置き場。