忍者ブログ
スレイヤーズと日常、ときどき銀魂。
[121]  [120]  [119]  [118]  [117]  [116]  [115]  [114]  [113]  [112]  [111
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

というわけでいただきものキタ―――(゚∀゚)―――!!!
前回の日記にある私が書いた「金魚の保護者さん」の金魚サイドの話をでめさんが書いてくれましたッ!!
でめさんありがとうございましたーーー!!!ヽ(≧∀≦)ノ
私の書いたやつを読まずとも十分楽しめますよ!とにかく読むのだー!!

***

あたしを助けてくれたのは、大きくて優しい瞳の人間でした。


金魚の保護者さん 金魚サイド


ぴーひゃらどんどん、音が鳴る。
五月蝿くて、怖い音。
これはあたし達の平穏を破る合図。
狭くて浅い水の中で、一斉に仲間達が緊張した顔を見せた。
ここに来てからあまり経っていないけれど、この音がしたら忙しくなるって知ってるから。
ほら、もう。
「おじちゃん、一回ね!」
「あいよ、頑張ってな」
お店のおじさんはお客さんから光るものを受け取ると、茶色の丸いものを手渡すの。
受け取ったお客さんは、それを使ってあたし達を捕まえようとする。
長老に言わせるとこれは人間が興じるお遊び、ゲームなんだそうだ。
あ、長老っていうのはあたし達の群れで一番大きな鯉のお姐さんのこと。
赤白黒の三色の鱗と、優美に広がる長尾鰭がお客さんの目を惹くとても綺麗なお姐さん。
あたいの仕事は客寄せと、それからアレを破って回ることさね。
そう言うと、ゆらりゆらりと狭い水槽の中を回遊しながら長老さんは、次々と茶色いアレに体当たりをして水を吸って膨れたアレを壊してしまう。
それから、声をあげて悔しがるお客さんを尻目に、舞い散る破片をパクンと食べてしまうの。
お客さんが少ない時はあたし達もおこぼれをもらったりするんだけど、忙しい時間になったらそんな余裕はなくなっちゃう。
一番弱い小さな仲間はなるべく底の方に潜らせて、泳ぎの速い仲間達はわざと水槽の縁の辺りを泳ぎ回って人目を惹いて、掬われそうになったら即、ダッシュで逃げるの。
人間が慌ててアレを動かせばしめたもの、大抵はそこでアレが壊れたり穴が開いてその人間のゲームは終わる。
きゃあ!
水槽の端っこで悲鳴があがる。
ああ、誰か捕まっちゃった。
夜になってお客さんが増えるにつれて、あたし達の逃げ場はどんどん狭くなっていく。
水槽の縁が一番危険だって分かっていても、いろんな手とアレに追い回されるうちにそこに誘導されていて。
気がついた時にはアレに掬われていたって経験は、あたしだって何度もある。
とぷんっ。仲間がまた一匹、水を張ったおわんの中に放り込まれた。
あの中に入れられるととにかく狭いわ、あとからあとから捕まった仲間が詰め込まれるわで居心地悪いことこの上ない。
それに・・・
「おじちゃん、この子をちょうだい」
「あいよ」
ここに入れられた中から選ばれた一匹が、群れから離れることになる。
連れられていった仲間がどこに行くのか、どうなるのかはあたし達にはわからない。
その先にどんな運命が待っていようとも、人と暮らさなくては生きられないあたし達にはどうすることもできないんだもの、考えたってしょうがない。
さ、今夜もお仕事頑張らなくちゃね。


「そっちいったよ!」
「まかせとけ」
ぐるぐると水をかき混ぜる小さな手達と、それらが生み出す抗い水の流れに翻弄される仲間達。
さっきからしつこくしつこくあたしを追っかけまわしていた子供たちが悪戯を始めたのだ。
こんなの反則! おじさん、おじさん、早く助けてよ!
ぱくぱくと口を動かしても、お店のおじさんは他のお客さんに気を取られて気付いてくれない。
はっきりいって、あたしは泳ぐのが得意じゃない。
スマートな和金じゃなくて、三又桜尾鰭のでめきんだもの。どんなに頑張ってもスピードなんて出せっこない。
まるまるとした体の重みでアレを破ったりするのは得意なんだけど、今回その手はつかえそうにないし。

「もうおわんで掬っちゃえよ」
小声で囁く男の子と、示し合わせて頷いた女の子。
やめてよ、そんなのぜったいにやだ!

近づく影に怯えながら必死に泳ぎ続けてたあたしは、いつのまにか水槽の角に追い詰められていた。
「こいつ、連れて帰ったらミーコの餌にしちゃおうか」
怖い事を言った男の子の握ったアレが近づいてくる。
怖い。
恐いよう。
必死で尾鰭を動かして、なんとかアレと水槽の壁の隙間をかいくぐって逃げたあたしは。
……あれ?
いつの間にか、違うアレの上にちょこんと乗っかっていた。
掬われたことに気づかないなんて、このお客さんってばどんな腕してるのよ!?
「そいつ、僕がねらってたのに!」
「はは、悪いな。おっちゃん、こいつ貰っていってもいいか?」
「あいよ。おや、兄さん。まだお終いになってないようだがいいのかい?」
「ああ、構わんさ。連れを待たしてるんでね」
何がなんだか分からないうちにあたしは水を入れた袋の中に入れられて、あたしを掬った人間に引き渡された。
群れの仲間達はもうあたしに気を向ける余裕もないのか、慌しくぐるぐると水槽の中を泳いでいる。
遠くなるお店と仲間達を見遣っていると、急に大きな影が近づいてきた。
「おまえさん、大変だったなぁ」
優しい声だな、と思った。
おじさんよりもちょっと高くて、すっごく柔らかな声。
それに、なんだかずっと見ていたくなるような笑顔。
たくさんの綺麗な金色の中に優しい青色の瞳が二つ、きらきらと光ってる。
このお兄さんって、今まで見たどの人間よりも恐くないや。
あたしは袋越しにぽぉ~っとその人間を見つめていたんだけど。
「お、いたいた」
その人は急にあちらを向くと、嬉しそうに笑って駆け出した。
ちゃぷちゃぷ揺れる水の中で目を白黒させながら、あたしはぼんやり『この人間に飼われるのかなぁ』と考えていたんだけれど。
どうやらそれは勘違いだったみたい。


「金魚?」
ちゃぷんっ。
大きく揺れた水の向こうにいたのは、小柄で綺麗な赤い瞳をした女の人。
きょろんと大きな瞳を輝かせてあたしを見た。
なーんだ、あたしはこの人へのプレゼントだったのか。
楽しげにお兄さんとお喋りしながらちらちらあたしを見る女の人の視線に、ちょっぴりトゲを感じるのは気のせい?
「…宿のおばちゃんにでもあげようかなーと思ってる」
さて、困ったな。って風に袋をつっつかれて、優しいお兄さんを見る。
旅の人じゃあしょうがないか。猫の餌よりはマシよね、きっと。
また袋を突っつかれた。今度は女の人。
何よ、あなたはずっとこの人と一緒にいるんでしょ?
金魚にでも分かる位に仲の良い二人の絆に妬けちゃって、くるんと反転、もう一回お兄さんを眺めることにする。
ツンツン、ツンツン。
お兄さんの方を向く度に女の人が袋を突っついてくるもんだから、だんだん腹が立ってきた。
あたし、おもちゃじゃないもん!
とうとう振り向くのにも飽きちゃって、あたしはひたすらお兄さんだけを眺めてた。
命の恩人の顔を覚えてたいってお魚が思っちゃいけないっていうの?
「って何なの!?何様のつもりよこの金魚!このあたしを無視するなんていい度胸してんじゃないの!!」
とうとう怒り出しちゃった女の人と、嬉しそうに彼女を宥めるお兄さん。
ぷいっと先に歩き出した女の人を追っかけて、お兄さんも歩きだす。
まるであたし達の求愛みたいに、引っ付いたり離れたり。
じゃれあうみたいにしながら群れの中を掻き分けて泳ぐ二人に連れられて、あたしはその夜、思い切り人間の世界を堪能した。


あれから一年。
あたしはすっかり大きく育って、お宿のカウンターで暮らしている。
あの日、お兄さんから宿の女将さんに渡されたあたしは、新しい棲みかだよと入れられた大きな水槽の中で何匹かの仲間と再会を果たしもしたし、
その後は誰に追われることもなく日々のんびりと過ごしているんだけど。
外への扉が開くたびに、あの二人が来ないかなーと期待しちゃう。
ぴーひゃら、どんどん。
お囃子の音が聞こえて、あたしはくるんと水中一回転。
新しい仲間に会えますようにと願いを込めて。


***

余計な言葉はいらぬ。
ガウリナ万歳!!!!!!
そしてでめさんありがとうございます!!!!!!!!

それにしても猫って本当に金魚食べるんですかねー?
あんなかわいいのに金魚あぐあぐゴリゴリなんてうわあああああああ!!!!。・゚・(ノД`)・゚・。
エサじゃなくてちゃんと水槽で飼いたいですな。

さてさて素敵なお話をもらったことだし、とっととエロ本の原稿書き終えてきまふー(汗)

拍手

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
明夜
性別:
女性
自己紹介:
スレイヤーズ→ガウリナ
銀魂→銀神

で、文とか絵とか書いてます。
しょぼクオリティ&遅筆ですがよろしくお願いします。
ちなみに名前は「あきや」と読みます。

verschieden
↑スレイヤーズメインのサイト。ほぼ過去ログ置き場。
ツイッター(フォローや@はご自由に!)
素敵サイト様へのリンク
Don't Touch!/すから様
duck weed~浮き草~/でめきん様
妖言/櫟弓子様
Apple or Orange?/浅葱様
電撃☆トトロ城/柳加名様
駄文の部屋/明美様
マトリカリア/優灯様
cherry bomb/まき様
徒然言/蓮葉様
りびのらくがき帳/りび様
萬屋ちゃんぽん亭mobile/日向大和☆様
Cross†Blue/茄奈美様
海底の青空/海原開花様
花の匂いと水のあじ/キイロ様

↑絶賛応援中っ!(※R18!!)

↑2012/11/24開催のオンリー「とことん!スレイヤーズ」
お疲れ様でした&ありがとうございました!

※うちへのリンクについてはこちらへ。
カウンター
Material : ミントBlue 忍者ブログ [PR]