スレイヤーズと日常、ときどき銀魂。
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「はぁっ…はぁっ…!」
どれぐらい走ったのだろう。
遊び慣れている森は今は真っ暗で、どれだけ走ってもそれは無限に続いているように感じた。
でも今は、その無限は乗り切れるという根拠のない自信がオレの足を動かしていた。
この森を抜ければ、オレは自由を手にする。
抱えている剣は重くて、今すぐにでも捨てたい衝動に駆られる。
でもこの剣だけは捨てられない。捨ててはいけない。
たった今、家も家族も何もかもを捨ててきた元凶のこの剣。
代々剣を受け継いできた家は着飾られたハリボテのようだった。
おままごとよりもちんけな家族ごっこ。
毎日剣を振り回させられて、毎日兄と競わされた。
光の剣を巡って。
唯一優しかったばあちゃんは、オレに秘密の言葉を残して昨日死んだ。
秘密の言葉の意味はすぐに家中を騒がせた。
――光の剣がない。
家に飾ってあった剣は偽物で、本物はばあちゃんが持っていた。
誰一人本物の光の剣の在りかを知る者はいなかった。
だからオレ以外の家族や親類が皆ばあちゃんが死ぬのを今か今かと待っていたのをオレは知っている。
そんな奴らと関わりたくなくて、いつもオレはよくばあちゃんの家に逃げ込んでいた。
優しかったばあちゃんはオレにいろんな事を教えてくれた。
生きていく知識や雑学まで、正直覚えていることは少ないと思う。
ただ最後に教えてくれたこと。
世界はもっと広くて色々な出会いがあると。
こんな狭い世界から抜け出すきっかけば絶対あるから。
広い世界で、いつかきっと大切な人に出会えるから。
だから私のいない世界に居る意味がないなんて思わないで。
諦めないで。蔑まないで。堂々と生きなさい。
そんな淡い期待と共にばあちゃんが教えてくれた秘密の言葉。
『その時は、おじいさんの墓へ行きなさい』
ばあちゃんが死んだ次の日の夜は満月だった。
光の剣を継ぐのは自分だと、一番最初に見つけた者が継承者だと朝からバカみたいに盛り上がる家からオレはひっそりと抜け出した。
最低限の荷物を持って、この狭い世界から抜け出す為に。
オレの事を気にかける人はこの家に誰一人いないから、オレがいなくなったところで誰も困りはしないだろう。
むしろ喜ぶに違いない…最有力候補とまで言われた競争相手が減るのだから。
でもそう簡単に喜ばれて堪るもんか。
ここに来るのは周忌の時だけで、オレ自身ももう何年と来ていなかった場所。
オレはじいちゃんの墓で何で誰も気づかなかったんだろうと呆れる程にあっさりと光の剣を見つけた。
自分で建てたという大層立派な墓の後ろにひっそりと隠されていたそれを拾い上げると、その重さが心に圧し掛かった。
「行くのか」
振り返れば、よく似ていると聞き飽きる程言われた兄の姿があった。
腰には愛用の剣。
月明かりの逆光で表情はわからないけど、声と空気は怒っているわけでもなく、笑っているわけでもない。
「…さっさと行け」
少し張りつめた空気が呆れたような声と共にすっと溶けた。
オレが溶けた空気を飲み込めずにいると、兄はさっさと踵を返して歩を進める。
「…止めないのか!?」
「止めて欲しいのか?」
肩越しにちらりと振り返った。
「兄貴の最後の優しさぐらい、素直に受け取っとけ」
そう言ってさっさと歩き出す。
「…ありがとう…」
一度も振り返らずいつも通り歩く後ろ姿に、オレは恐らく初めてに近い感謝の言葉を小さく口にした。
それからオレはずっと走っている。
砂漠の端にあるこの森を抜ければ小さな町を2つ超えた事になる。
森を抜けたら少し休んで、もっと遠くまで行こう。
遠く遠く、どこまで行こうか。
足の赴くまま、足が疲れ果てて体力がなくなくまで、あちこちを歩き回ればいい。
オレは今、自由になるんだ。
疲れた全身が自由という言葉で再び動力を得る。
「…オレ…生きるよ…」
いつか、ばあちゃんが言ってた大切な人にも会えるのだろうか。
その時この光の剣は…。
今はとにかく、ただひたすら走り続けた。
目の前の自由と、その先にいる大切な人に向かって。
***
昨夜カッとなって書いた話ですー。
実を言うと去年から考えてた話だったり(笑)
きっと幼少時代はいろいろ荒んでる環境だったんだろうなぁと…。
ばあちゃんが唯一の心の拠り所で、ばあちゃんが死んだらオレ生きてる意味ないから一緒に死のうかなとか考えてて、でもそれは間違ってるよと諭されて。
ついでに光の剣もこっそり託されてたりして。
ばあちゃんの死をきっかけに実家を出たんじゃないかなって。
光の剣じゃなくて、オレはばあちゃんの意思を継ぐんだ!みたいな(笑)
お兄さんはあいつ以外に継げるやつはいないとかその辺はだいぶ前から薄々気付いてて、諦めつつ表面ではそれを見せないように暮らしてたとか。
だからあえて見過ごしてみました。
でも逆に一番執着してるのもいい。
この後追手が来たり尋ね人扱いされたりとかして苦労するんだろうなぁと。
ちなみに年齢は17か18歳ぐらいがいいかも。
んで傭兵やって数年後にリナと出会うんだよ!!!!!!
という感じでだいぶ勝手設定で書いてみた話でしたー。
ウザかったらすいません…m(_ _;)m
あと続きに拍手のお返事ありまっす!!いつもありがとうございます!!!
どれぐらい走ったのだろう。
遊び慣れている森は今は真っ暗で、どれだけ走ってもそれは無限に続いているように感じた。
でも今は、その無限は乗り切れるという根拠のない自信がオレの足を動かしていた。
この森を抜ければ、オレは自由を手にする。
抱えている剣は重くて、今すぐにでも捨てたい衝動に駆られる。
でもこの剣だけは捨てられない。捨ててはいけない。
たった今、家も家族も何もかもを捨ててきた元凶のこの剣。
代々剣を受け継いできた家は着飾られたハリボテのようだった。
おままごとよりもちんけな家族ごっこ。
毎日剣を振り回させられて、毎日兄と競わされた。
光の剣を巡って。
唯一優しかったばあちゃんは、オレに秘密の言葉を残して昨日死んだ。
秘密の言葉の意味はすぐに家中を騒がせた。
――光の剣がない。
家に飾ってあった剣は偽物で、本物はばあちゃんが持っていた。
誰一人本物の光の剣の在りかを知る者はいなかった。
だからオレ以外の家族や親類が皆ばあちゃんが死ぬのを今か今かと待っていたのをオレは知っている。
そんな奴らと関わりたくなくて、いつもオレはよくばあちゃんの家に逃げ込んでいた。
優しかったばあちゃんはオレにいろんな事を教えてくれた。
生きていく知識や雑学まで、正直覚えていることは少ないと思う。
ただ最後に教えてくれたこと。
世界はもっと広くて色々な出会いがあると。
こんな狭い世界から抜け出すきっかけば絶対あるから。
広い世界で、いつかきっと大切な人に出会えるから。
だから私のいない世界に居る意味がないなんて思わないで。
諦めないで。蔑まないで。堂々と生きなさい。
そんな淡い期待と共にばあちゃんが教えてくれた秘密の言葉。
『その時は、おじいさんの墓へ行きなさい』
ばあちゃんが死んだ次の日の夜は満月だった。
光の剣を継ぐのは自分だと、一番最初に見つけた者が継承者だと朝からバカみたいに盛り上がる家からオレはひっそりと抜け出した。
最低限の荷物を持って、この狭い世界から抜け出す為に。
オレの事を気にかける人はこの家に誰一人いないから、オレがいなくなったところで誰も困りはしないだろう。
むしろ喜ぶに違いない…最有力候補とまで言われた競争相手が減るのだから。
でもそう簡単に喜ばれて堪るもんか。
ここに来るのは周忌の時だけで、オレ自身ももう何年と来ていなかった場所。
オレはじいちゃんの墓で何で誰も気づかなかったんだろうと呆れる程にあっさりと光の剣を見つけた。
自分で建てたという大層立派な墓の後ろにひっそりと隠されていたそれを拾い上げると、その重さが心に圧し掛かった。
「行くのか」
振り返れば、よく似ていると聞き飽きる程言われた兄の姿があった。
腰には愛用の剣。
月明かりの逆光で表情はわからないけど、声と空気は怒っているわけでもなく、笑っているわけでもない。
「…さっさと行け」
少し張りつめた空気が呆れたような声と共にすっと溶けた。
オレが溶けた空気を飲み込めずにいると、兄はさっさと踵を返して歩を進める。
「…止めないのか!?」
「止めて欲しいのか?」
肩越しにちらりと振り返った。
「兄貴の最後の優しさぐらい、素直に受け取っとけ」
そう言ってさっさと歩き出す。
「…ありがとう…」
一度も振り返らずいつも通り歩く後ろ姿に、オレは恐らく初めてに近い感謝の言葉を小さく口にした。
それからオレはずっと走っている。
砂漠の端にあるこの森を抜ければ小さな町を2つ超えた事になる。
森を抜けたら少し休んで、もっと遠くまで行こう。
遠く遠く、どこまで行こうか。
足の赴くまま、足が疲れ果てて体力がなくなくまで、あちこちを歩き回ればいい。
オレは今、自由になるんだ。
疲れた全身が自由という言葉で再び動力を得る。
「…オレ…生きるよ…」
いつか、ばあちゃんが言ってた大切な人にも会えるのだろうか。
その時この光の剣は…。
今はとにかく、ただひたすら走り続けた。
目の前の自由と、その先にいる大切な人に向かって。
***
昨夜カッとなって書いた話ですー。
実を言うと去年から考えてた話だったり(笑)
きっと幼少時代はいろいろ荒んでる環境だったんだろうなぁと…。
ばあちゃんが唯一の心の拠り所で、ばあちゃんが死んだらオレ生きてる意味ないから一緒に死のうかなとか考えてて、でもそれは間違ってるよと諭されて。
ついでに光の剣もこっそり託されてたりして。
ばあちゃんの死をきっかけに実家を出たんじゃないかなって。
光の剣じゃなくて、オレはばあちゃんの意思を継ぐんだ!みたいな(笑)
お兄さんはあいつ以外に継げるやつはいないとかその辺はだいぶ前から薄々気付いてて、諦めつつ表面ではそれを見せないように暮らしてたとか。
だからあえて見過ごしてみました。
でも逆に一番執着してるのもいい。
この後追手が来たり尋ね人扱いされたりとかして苦労するんだろうなぁと。
ちなみに年齢は17か18歳ぐらいがいいかも。
んで傭兵やって数年後にリナと出会うんだよ!!!!!!
という感じでだいぶ勝手設定で書いてみた話でしたー。
ウザかったらすいません…m(_ _;)m
あと続きに拍手のお返事ありまっす!!いつもありがとうございます!!!
∧ ∧
ΦωΦ)<にゃにゃーん!
>葵月さん
おおお!無事に本が届いてよかったです!!
まあリナがにゃんにゃん言ってたら手出したくなりますよね(笑)
むしろにゃんにゃん言ってなくても手出s(ry
確かにエロ書くと黒寄りっつーかドス黒くなっちゃうんですよねー(-_-;)
たまには白ガウさんでエロを書いてみたいもんです…ってそれ恥ずかしくて無理かもッ!!><;
期待せずにお待ちくださいー。
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自己紹介:
スレイヤーズ→ガウリナ
銀魂→銀神
で、文とか絵とか書いてます。
しょぼクオリティ&遅筆ですがよろしくお願いします。
ちなみに名前は「あきや」と読みます。
verschieden
↑スレイヤーズメインのサイト。ほぼ過去ログ置き場。
銀魂→銀神
で、文とか絵とか書いてます。
しょぼクオリティ&遅筆ですがよろしくお願いします。
ちなみに名前は「あきや」と読みます。
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